ルチルクォーツ

グリーンファントムクォーツについて

水晶の中にフックサイト(クロム雲母)やクローライト(緑泥石)と呼ばれる鉱物が取り込まれている天然石です。
産地によって取り込まれている鉱物が異なり、マダガスカル産ではフックサイト、ブラジル産ではクローライトが取り込まれています。

水晶の中で幻影のように山が見える「ファントムクォーツ」と呼ばれる種類の一つで、フックサイトやクローライトを内包した緑色のファントムクォーツは「グリーンファントムクォーツ」と呼ばれます。
内包物が明確に山を形成している場合は、宝石名としてもグリーンファントムクォーツが適用されています。
そうでない場合は、フックサイトインクォーツやクローライトインクォーツと呼び名が変わることもあります。

ブラジル産のグリーンファントムクォーツは、モスグリーンの温かく落ち着いた緑色に対して、マダガスカル産は爽やかで鮮やかな緑色が特徴です。
マダガスカル産のグリーンファントムが鮮やかな緑色である要因として、フックサイトの成分にクロムが含まれているためです。
クロムが含まれている鮮緑色の代表的な宝石にエメラルドがありますが、マダガスカル産のグリーンファントムにもエメラルドグリーンを彷彿とさせる美しさがあります。

グリーンファントムクォーツの原石/マダガスカル

水晶の中に微細な粒子状のフックサイトを取り込んだグリーンファントムクォーツのクラスター原石です。
ファントムクォーツは、水晶の成長が止まった時に積もったインクルージョンで山の形を形成しています。
グリーンファントムの山の一つ一つには、悠久の時をかけて成長した水晶の成長物語が秘められています。

フックサイト(クロム雲母)の原石/ブラジル

フックサイトは、種類の多い雲母(マイカ)のグループの一つで、白雲母(マスコバイト/uscovite)がクロムを含有することで緑色を帯びた鉱物です。
フックサイトに関連した鉱物としてアベンチュリンクォーツが挙げられますが、アベンチュリンクォーツのキラキラしたラメ状の輝き(アベンチュリンレッセンス)は、細かなフックサイト粒子によるものです。
その他の関連鉱物では、塊状のフックサイトがルビーと共生しているルビー・イン・フックサイトがあります。

フックサイトの名前の由来は、ドイツの化学者および鉱物学者であるヨハン・ネポムク・フォン・フックス(Johann Nepomuk von Fuchs)氏にちなんで名付けられました。

グリーンファントムクォーツの石言葉

グリーンファントムクォーツを象徴する石言葉には、次のものが挙げられます。

「成長」「前進・向上」「進級・昇進」「成功への導き」「停滞した状況や困難の克服」「再出発・再挑戦」「目指すべき人生の頂」「癒し」「安全・安らぎ」「親和・調和」「生命力」

グリーンファントムクォーツを象徴する石言葉は、一度止まった成長が再び成長を始める水晶の成長プロセスが基になっています。
そのことから成長にまつわる数多くの意味合いを持ち合わせています。
また、緑色から連想する抽象的イメージも意味合いに含まれています。