ルチルクォーツ鉱物データ
宝石名 |
ルチルレイテッド・クォーツ |
英名 |
Rutile quartz Rutilelated quartz |
和名 |
金紅石入り水晶 金色針状結晶入り水晶 |
主な産地 |
ブラジル、インド、パキスタン,アメリカなど |
分類 |
酸化鉱物 |
成分 |
二酸化ケイ素/SiO2(クォーツ)+二酸化チタン/TiO2(ルチル) |
結晶系 |
クォーツ : 六方晶系(高温型)/三方晶系(低温型) ルチル : 正方晶系 |
へき開 |
クォーツ : 不明瞭 ルチル : 2方向に明瞭 |
モース硬度 |
クォーツ : 7 ルチル : 6-6.5 |
光沢 |
クォーツ : ガラス光沢 ルチル : 金剛光沢〜金属光沢〜亜金属光沢 |
比重 |
クォーツ : 2.7 ルチル : 4.2 |
色 |
クォーツ : 無色〜褐色 ルチル : 金褐色、黄褐色、赤褐色、黒褐色、灰色など |
条痕 |
クォーツ : 白色 ルチル : 褐色 |
多形(同質異像) |
アナテース(鋭錐石) ブルッカイト(板チタン石) |
誕生石 |
該当なし |
誕生石日 |
2月8日 |
ルチルクォーツ鉱物図鑑
ルチル(金紅石)の結晶/標本/パキスタン
鉱物名はラテン語のRutilus(赤色、金紅色)に由来しています。
水晶に針状に結晶したルチルが取り込まれたものをルチルクォーツと呼びます。
太陽放射ルチルの結晶/標本/ブラジル
太陽放射ルチルは、黒い金属光沢のあるヘマタイト(赤鉄鉱)の結晶からルチル(金紅石)が伸びている共生石です。
その様子が太陽の光を連想させることから「太陽放射ルチル」と名付けられています。
この呼び名の他にも「太陽ルチル」「スタールチル」「ルチルオンヘマタイト」「ヘマタイトウィズルチル」など、様々な呼び名が存在しています。
太陽放射ルチルのような結晶の成長方法をエピタキシャル成長と呼びます。
基盤となる単結晶の上に、その結晶と結晶方向をそろえて新たな結晶層が形成されて成長していく成長様式です。
エピタキシャル成長(epitaxial growth)は、ギリシャ語のepi「上に」を意味する接頭辞、taxis「整列、配向」を意味する語を由来としているそうです。
半導体などの近代的な結晶成長の分野で主に使われている用語になりますが、もともとは鉱物学の分野で使われていた概念で、自然界には様々な鉱物のエピタキシャル成長が確認されているようです。
その中でもヘマタイトとルチルの共生は、自然界のエピタキシャル成長の代表例となります。
ブルッカイト(板チタン石)の結晶/標本/パキスタン
英名ブルッカイトは、イギリスの鉱物学者ヘンリー・ジェームズ・ブルックを由来としています。
和名では板チタン石と呼ばれ、チタンと酸素で構成された鉱物で、薄い板状の結晶をなします。
ブルッカイトとルチルは、いずれも二酸化チタンを成分としながら結晶構造が異なる同質異像関係の鉱物です。
平行状繊維結晶の中心部分が直交や斜交して板状結晶をなしているブルッカイト*1が水晶に取り込まれたものを、プラチナルチルクォーツ*2またはブルッカイトインクォーツと呼びます。
*1 日本彩珠宝石研究所が発行する宝石鑑別書の摘要を参考
*2 色味が銀色、灰色、黒灰色のブッルカイトをプラチナルチルと呼びます。